顎関節症の仕組み(健康・美容矯正の前に知ってほしい事)
顎関節症とは
顎関節(TMJ)の病気を顎関節症と言います。
※別名は
- 顎機能障害
- 顎機能異常
顎関節症は特に20~30歳代に好発します。
男女比では女性に顎関節症が多く
男性の約2~4倍女性に発症しています。
顎関節症は決して珍しい病気ではなく
「一生の間に2人に1人が顎関節症を経験する」
とも言われています
顎関節症の症状
顎関節症の症状を医学辞書で調べると
- 顎関節の痛み
- 咀嚼(そしゃく)筋の痛み
- 下顎(顎関節)の運動障害
が主な症状で
全身にも色々な障害をもたらす場合がある
と記述されています。
簡単に言えば
- あご(顎関節)が痛い
- 口が開けにくい
- 口を大きく開けられない
- 口を開けると、耳の辺り(顎関節)で音が鳴る
- 耳が痛い
- 顎関節周りの筋肉に疲労を感じる
- 肩こり
- 腰痛
- めまい
などの症状が出現します
- 顎関節症が軽度だと
- 口を開閉すると
耳の穴の少し前方(顎関節)で音が鳴ります
- 顎関節症がひどい(重度)
- 口の開閉に伴い
顎関節に痛みが生じます
顎関節症の口を開けたときの音(関節雑音)は
- clicking(カクンあるいはコキン)
- crepitation(ジャリジャリあるいはギシギシ)
に分類できます。
下顎骨と側頭骨の間(顎関節)には
一種のクッションの役目をする関節円板(軟骨)が存在します
顎関節の関節円板が前や横に僅かにずれると
口を開閉する時にclicking(カクンあるいはコキン)が起こります。
他方
顎関節の関節円板が完全に所定の位置からずれると
口を開閉する時にcrepitus(ジャリジャリあるいはギシギシ)が起こります
顎関節症のチェック法
①自分の顔を鏡に映して
あご(顎関節)を大きくゆっくり開閉させます。
開閉時にあご(顎関節)が左右に揺れていませんか?
②自分の顔を鏡に映して
舌を大きく前に出します。
舌は真っ直ぐ前に出ていますか?
③口を大きく開けた時
3本指が縦に口に入りますか?
④自分の顔を鏡に映して
・左右の目の高さ
・左右の口角の高さ
が同じですか?
以上のテストをして
- 開閉時にあご(顎関節)が左右に揺れたり
- 舌が真っ直ぐ前に出なかったり
- 1~2本しか指が口に縦に入らない
- 左右の目の高さが違う
- 左右の口角の高さが違う
サインが出た方は顎関節症の可能性があります
舌を大きく前に出すのが
「なぜ顎関節症のテストになるのか?」
舌は顎関節を構成する下あご(下顎)に付着しています
さらに
口を開ける開口筋の
- 顎舌骨筋
- オトガイ舌骨筋
- 顎二腹筋
は舌の骨(舌骨)に付着します
顎関節症の原因は
- かみ合わせ
- 精神的ストレス
- あご(顎関節)に悪い日常生活の癖
- 姿勢が悪い
- かおの外傷
などが考えられます
- かみ合わせ
- かみ合せがうまくいかなく
顎関節症になる人は確かにいます。
しかし
かみ合せの悪い部分がたくさんあっても
顎関節症にならない人が圧倒的に多いです。
また
歯並びがきれいに揃っていて
上下左右のかみ合せが完璧な人にも
顎関節症は発症します
- 精神的ストレス
- 人は精神的な負荷(ストレス)がかかると
身体の筋肉を無意識に収縮させます
例①
・仕事中
・寝ている時
・物思いにふける時
精神的な負荷(ストレス)で
無意識に肩の筋肉が収縮する(力が入る)と
・肩こりや肩の痛み
・背中のこりや背中の痛み
・首のこりや首の痛み
などの症状が出ます
例②
・仕事中
・寝ている時
・物思いにふける時
精神的な負荷(ストレス)で
無意識にあご(顎関節)の筋肉(咀嚼筋)が収縮する(力が入る)と
・あご(顎関節)が痛い
・耳が痛い
・顎関節周りの筋肉に疲労を感じる
などの症状が出ます
さらに
精神的な負荷(ストレス)で
あご(顎関節)の筋肉(咀嚼筋)が収縮し(力が入り)続けると
・歯の表面が欠けたり
・歯の表面がすり減る(歯の溝がなくなる)
・顎関節のクッション(関節円板)が損傷
する事があります。
顎関節のクッション(関節円板)が損傷すると
・口が開けにくい
・口を大きく開けられない
・口を開けると、耳の辺り(顎関節)で音が鳴る
などの症状が出ます
- あご(顎関節)に悪い日常生活の癖
- ・ほお杖
・ 爪かみ
・片側でのかみ癖(ガムや食べ物)
・電話を肩で挟む
- 姿勢が悪い
- ・猫背
・ 下向きでの携帯電話やスマホの操作
・顔を真っ直ぐにせず食事をする
・身体を真っ直ぐにせずテレビを見る
正常(姿勢がいい)時は
下顎骨(顎関節)の動きは
・前突と後退
・側方運動
・下制と挙上
に分類できますが
姿勢が悪くなると
下顎骨(顎関節)の動きがおかしくなり
・あご先がずれる
・開口時(口を開けた時)に
あご(顎関節)が左右に揺れる
・あごが下がる(二重あご)
などの原因になります
- かおの外傷
- かお(特にあご)に外から力が加わる
・打撲(殴られる、物にぶつける)
・転倒
・コンタクトスポーツ(ラクビー・バスケット)
・交通外傷
顎関節症のストレス
- かみ合わせ
- 精神的ストレス
- あご(顎関節)に悪い日常生活の癖
- 姿勢が悪い
- かおの外傷
などが原因で顎関節症になりますが
すべての原因に共通するキーワードは
「ストレス」です
ストレスとは
ストレスを辞書で調べると
「種々の外部刺激が負担として働くとき
心身に生ずる機能変化」
簡単に
「物体の外側からかけられた圧力によって
歪みが生じた状態」
です。
風船を使うと理解しやすいです
・風船が物体(心身)
・風船を押す手が、物体の外側からかけられた圧力(種々の外部刺激)
・風船が凹む状態が、物体に歪みが生じた状態(機能変化)
上の図の風船を凹ます力が
ストレッサー(種々の外部刺激)で
ストレスの原因になるものです。
ストレッサー(種々の外部刺激)は
①物理的ストレッサー
②気温・騒音・光による刺激
③化学的ストレッサー
④アルコール・タバコ・薬害・酸素や栄養の過不足
⑤生理的ストレッサー
⑥寝不足・病気・けが・妊娠・虫歯
⑦心理的(精神的)ストレッサー
⑧人間関係トラブル・不安・焦り・いらだち・怒り・緊張
に分類できます。
これらいくつかのストレッサー(種々の外部刺激)が複雑に混ざり合い
「ストレス」を引き起こしています
精神的ストレス以外で
顎関節症のストレスになる
種々の外部刺激(ストレッサー)は
- かみ合わせ
- あご(顎関節)に悪い日常生活の癖
- 姿勢が悪い
- かおの外傷
はすべてあご(顎関節)に対するストレス(負担)です
顎関節症が発症するメカニズム
ストレスは誰もが受けていますが
「なぜ下の図の症状がでる人とでない人がいるのか?」
その答えは
コップと水を使うと理解しやすいです。
「コップと水」理論
コップは個人の持つストレスの耐性です。
ストレス耐性とは
「ストレッサー(種々の外部刺激)を受けた時に
どの程度対応できるか(耐えられるか)という強さ」
です。
水はストレッサー(種々の外部刺激)です
コップ(個人)に水(ストレサー)をいれます
上の図の状態だと
ストレス症状はまだ出ません。
もし…
コップからあふれるほどの水(ストレッサー)が溜まると
ストレスが過度な状態となり
ストレス症状が出現します。
しかし
同じストレスの刺激(ストレッサー)があっても
職場の同じストレス
- 空調温度
- 座り続け
- 立ち続け
- パソコン
日常の同じストレス
- 温度
- 気圧
- 湿度
- 家族同じ食事
ストレス症状の出る人出ない人の違いは
個人の今までの
- 体験
- 経験
- 遺伝
などによって
人それぞれコップ(個人のストレス耐性)の大きさが違うからです
顎関節症が発症するメカニズムは
コップと水のたとえ以外に
積み木のたとえがあります。
積み木理論
積み木理論とは
「個人が持っている積み木(寄与因子)の重なりが
顎関節症の出現や持続に影響する」
と言う考えで
東京医科歯科大学の准教授
木野孔司先生が提唱されました
顎関節症の積み木(寄与因子)
- かみ合わせ
- 精神的ストレス
- あご(顎関節)に悪い日常生活の癖
- 姿勢が悪い
- かおの外傷
上記のいくつかの寄与因子(積み木)が複雑に絡み合い
顎関節症が発症します
積み木理論を利用すれば
日によって顎関節症の症状
- あご(顎関節)が痛い
- 口が開けにくい
- 口を大きく開けられない
- 口を開けると、耳の辺り(顎関節)で音が鳴る
- 耳が痛い
- 顎関節周りの筋肉に疲労を感じる
- 肩こり
- 腰痛
- めまい
がひどくなったり
または
楽になったりする理由がわかります
顎関節症の症状(痛み)が出た時は
いくつかの寄与因子(積み木)が重なって
個人の関節や筋肉の限界(耐久力)を越えたためです
顎関節症の症状(痛み)が消えるか楽になる時は
顎関節症の症状(痛み)が出た時の
寄与因子(積み木)の一つ
あるいは
寄与因子(積み木)のいくつかが無くなって
個人の関節や筋肉の限界(総合的耐久力)の範囲内に
寄与因子(積み木)の重なりが収まったからです
さらに
同じストレスの刺激(寄与因子)があっても
職場の同じストレス
- 空調温度
- 座り続け
- 立ち続け
- パソコン
日常の同じストレス
- 温度
- 気圧
- 湿度
- 家族同じ食事
ストレス症状の出る人出ない人の違いは
個人の今までの
- 体験
- 経験
- 遺伝
などによって
人それぞれ関節や筋肉の限界(総合的耐久力)の範囲が違うからです
最後に
- コップと水のたとえ
- 積み木のたとえ
どちらも
顎関節症は
- かみ合わせ
- 精神的ストレス
- あご(顎関節)に悪い日常生活の癖
- 姿勢が悪い
- かおの外傷
などの1つだけの原因(寄与因子・ストレス)では無く
色々な種類の原因(寄与因子・ストレス)が複合して起きると考えています。
ですので
顎関節症の症状が
- 治りにくい
- 楽になりにくい
と言われているのは
1つだけの原因(寄与因子・ストレス)の治療しかしていないからです。
- 1つだけの原因(寄与因子・ストレス)の治療①
- 精神的ストレスならカウンセリングのみ
- 1つだけの原因(寄与因子・ストレス)の治療②
- かみ合わせが悪ければ
かみ合わせを直す治療のみ
顎関節症の症状は
「色々な種類の原因(寄与因子・ストレス)が複合して起きている」
と考えている医療機関でしか
治療がうまくいかないと思います